処理能力や記憶容量など、コンピュータの持つ計算資源を必要なときに必要なだけ購入して利用する方式。「ユーティリティ」(utility)とは電気・ガス・水道などの公共サービスのことで、コンピュータの提供する能力を公共サービスのような形態で利用するモデルのことを指す。 現在、コンピュータによる情報処理や記録が必要な場合、コンピュータ自体を購入して保有し、これを利用する必要がある。企業の基幹システムに使うサーバなどは、ピーク性能に合わせて高価で高性能な機種を用意しなければならず、普段はCPUやメモリのほとんどが遊んでいることが珍しくないが、アクセスが想定外に急増すると対応できずにシステムがダウンしてしまうことがある。また、性能を高めるには機器を買い換えたり買い足さなければならない。 こうした状況は、電気を得るために発電機を買ったり、飲み水を得るために浄水場を建設するようなもので、個々の企業や個人がこうした投資を行なうのはいかにも効率が悪い。そこで、公共サービスをモデルに、コンピュータや記憶装置を大量に設置した施設を作り、ネットワークを通じてその資源を企業などに提供するという利用形態が考案された。これがユーティリティコンピューティングである。これにより、CPU性能やメモリ、ディスクなどの容量を、必要なときに必要なだけ利用し、使った分だけ料金を支払うという環境が実現する。 公共サービスのように汎用的なユーティリティコンピューティングサービスはまだ実現しておらず、技術基盤や標準の開発・策定が待たれる状況にある。しかし、一部の大企業などではサーバやストレージを集約して仮想化し、必要な部門(あるいはアプリケーション)に必要なだけ資源を提供するというシステムが採用されており、コンセプトとしては一部実用化されているとも言える。